グレーチング

この格子状の隙間に杖や自転車の細いタイヤが挟まる転倒事故が結構あるらしい。
10年ほど前まで一緒に住んでいたシーズー犬は,散歩の途中,グレーチングを見ると尻込みし,溝に掛かっている場合は思い切りジャンプして飛び越し,絶対その上に足を載せなかったのを思い出した。どこかで余程痛い思いをしたに違いない。
グレーチングは一歩で通り過ぎてしまうくらいの大きさなので気付きにくいが,その上で立ち止まって中を覗くと面白い。
たいていのものは,隙間に泥が詰まっていて中が見えなかったり,雑草が生い茂っていたり,たばこの吸い殻入れのようになっていたりする。
だが,中には,下水なので清潔なはずはないが,濁っていない水が溜まっているだけのものもある。そういったものを覗くと,50㎝ほど下に水面があり,そこに足元から見上げた状態の自分の姿が映っている。
倒立した姿は空港やデパートなどの磨かれた床でも見ることはできるが,この場合は映った像と自分が足の裏同士でくっついている。それに対してグレーチングの場合は,離れたところに像が映っていて,宙に浮いているように見える。それが自分の今を映した鏡像だと考えると,自分自身が50㎝ほど宙に浮かんでいるのではないかと思えてくる。
| 「亜空間」の現象の周辺 | 2013.01.09(Wed)13:27 | Comments0 | Trackbacks0 | 編集 | ▲