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桜の樹

 図書館のそばを流れる川沿いに植えられた桜は,その下を通る者の眼を四季を通じて楽しませてくれる。
 春はごく淡いピンクの花びらが,夏は青々と茂った葉っぱが,秋は柿色に染まった枯れ葉が川沿いの幅4,5メートルの道をすっぽり覆ってドームのような通り道を演出してくれる。
 では冬はとなるが,葉がことごとく散り去り幹と枝だけになった桜の樹は日差しを遮ることもない。樹の下から上を覗いても,一面に広がる青空ばかりが目に付き,寒々とした枝々は辛うじて細いシルエットで空に模様を描いているだけだ。では,桜の樹は存在感の希薄なものに成り果てたのかというと,そうではない。
 太めの何本かの枝が作る立体的な形に注目しよう。隣り合う枝や二股に分かれた枝の間のそこに空間が包み込まれているのが見て取れる。それらを見上げながら樹の下を歩むと,枝で形作られた空間が刻々様相を変えていく姿を楽しむことができる。
 私たちの周りはたいへん豊なのだと感じるひとときだ。

| 「亜空間」の現象 | 2012.12.15(Sat)11:19 | Comments0 | Trackbacks0 | 編集 |

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秋岡久太(くだ)

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