夜景

2年前に住まいのリフォームをしたが,そのときやりたかったことの一つに廊下とリビングルームの境のドアのデザインがある。映画『未知との遭遇』でUFOの放つ強烈な光が閉めた玄関のドアの隙間から室内に入り込むイメージで,ドアの外周から10㎝ほど内側に1㎝幅の溝で長方形の透明な枠を設けた。普通のドアのガラスの部分の周辺だけを残した感じで,ドアを閉めるとその細い部分からのみ光が漏れるようになっている。
季節によって,山の向こうに沈みかけた夕陽がちょうど正面からそのドアを照らし,夕方帰宅して玄関のドアを開けたときに,ドアに仕掛けた長方形の隙間から光が溢れる様子が見られる。
ところが今回のは見え方が違っていた。
ベッドに入るために部屋の照明をすべて落としたが,廊下の電灯だけを消し忘れていて,しかもその状況で窓から夜景を眺めたために,窓ガラスに映った光の枠が宙に浮かぶのを見ることができたのだ。夜空に浮かぶ光の枠は,写真より遥かに鮮明で,奥行き感のある空間に屹立しているように見える。映画『2001年宇宙の旅』のモノリスを思わせる荘厳ささえ感じさせる佇まいだった。
| 「亜空間」の現象の周辺の周辺 | 2012.09.10(Mon)19:43 | Comments0 | Trackbacks0 | 編集 | ▲