旅行

電車は,京都を出てしばらくは順調に運行していたが,綾野あたりから雪の影響が出始め,駅での停車時間が長くなってきた。そんな中,車掌がとんでもない放送したのには驚かされた。近ごろでは公には口に出せない単語の電車がやって来るみたいで,同じ言葉を繰り返している。何度目かにようやく分かったが,行き違い電車を待っていると言っているようだ。寒さで口が縮かんでいるのかもともと滑舌が悪いのか分からないが,電車の前に付いた言葉の最初の一音が消えているので,車内を騒然とさせてしまったのだ。
隠れ家的と謳う旅館に泊まったが,佇まいも装飾も料理も,観光旅館にはよくある必要以上に華美なところが控えてあって,たいへん心地よく過ごすことができた。
城崎温泉と言えば外湯巡りが名物で,旅館で借りた長靴で雪を踏みしめながら温泉に行き着いた。その一つの御所の湯では露天風呂があり,間近に迫る裏山の雪で化粧した木々を眺め,ちらちら降る雪を顔に受けながら温泉に浸かることができた。これ以上の贅沢を思いつけないほど快適なお湯だった。
露天風呂からの絶景は残念ながら撮れなかったが,載せた写真は特急「きのさき」の座席の背中の部分で,その日の私の心境をよく表している。
| 「亜空間」の現象の周辺の周辺 | 2012.02.10(Fri)21:10 | Comments0 | Trackbacks0 | 編集 | ▲